これまでのSENTEの歩み
SETNTE代表 沢田石武瑠
農業の世界へ
四季折々に美しい日本列島の中でも、雄大な自然に満ち溢れた秋田の地。生命の香り高さが森に満ち溢れる春、逞しい群緑が山々を覆って息吹く夏、艶やかな紅葉がやさしく舞い踊る秋、凛々しく厳かな白銀世界が微笑む冬−−
私・沢田石武瑠はこの秋田の地で、1907年創業の農家に生まれ、幼い頃から、「春は種まき、夏は野菜の収穫、秋は稲刈り」という生活に慣れ親しんでいました。いずれは実家の農業を継ぎたい、というのが私の夢でした。その後、「いったん秋田の外から農業を見つめ直すべし」という祖父の教えに従って、東京農業大学及び大学院へ進学、そこで「農業と経営」の概念を深く修めました。しかし、大学院を終えた私は悩みました。新規就農者が一歩を踏み出すには、極めて難しい時代だったのでした。技術課題、利益性、行政問題、国際情勢、あらゆる問題が山積しており、新規農業者が軽々しく立ち入れる世界では無かったのです。
それでも、私は一歩を踏み出しました。祖父の現役引退を契機に、こうして秋田に戻って実家を継いだのです。今、こうして青年農業者となった私は、その言葉から鮮烈な勇気と希望を貰っています。農業とは、誇り高く、意義深い、文明の基盤。まさに「人類の未来」そのものなのです。が、その道が険しいものであっても、いや、険しいものだからこそ、確実にこの手で「未来」を築き上げていかねばなりません。今、誰かがそうして使命感を持ち、農業の新たなスタイルを築く努力をしなければならないのだと、私は考えています。
「ブランド経営」と「土壌研究」
私は新規農業者として、「ブランド経営」と「土壌研究」に注目しました。まず、「ブランド経営」の観点では、「付加価値により商品とブランドの魅力を上げる」という高品質・差別化戦略を取り入れて、これを活路にしようと考えました。私は専門のデザイナー様と交渉を重ね、愛読書であるサン=テグジュペリの『星の王子様』の挿絵画法をイメージとし、ブランド屋号「SENTE」とロゴデザインを完成に導きました。この「センテ」は、「Special・Eco・Natural・Technology・Each」の略語となっています。
続けて、私は「自分の作物に付加価値を与える研究」に集中しました。それが、「土壌研究」です。私はまるで農学者のように、土壌概念の研究から地理・地質学の調査まで幅広い研究を実行しました。その研究の果てに見出したのが、「至高の土作りを可能とする、秋田の天然資源」。秋田杉の炭と木酢液、土の王様と名高い八木沢白土、男鹿の海洋水が生んだニガリなど、秋田の天然資源を活用する事で、土壌と作物に劇的な変化をもたらす事を発見したのです。
私の挑戦は、土壌改良から3ヵ月後に、確たる結果を生みました。「ナス」「トウモロコシ」が凄まじい成長を遂げました。別品種と言えるぐらいのズッシリとした重みが生まれ、ツヤツヤと光り輝き、口に広がる甘さ、深い旨味が、そこにありました。たくさんのお客様の感謝と喜びの声が、私のもとへ舞い込んできました。ただただ、胸がいっぱいになりました。秋田に帰って農業をやって良かったと、私は心の底から感動した次第です。
以上が、SENTE誕生から現在に至るまでの歩みとなります。